前回の続きになります。
今回はドライビングについて解説します。
ドライビングについて
本件に関しては、あくまでも私流の見解ということを踏まえて読んで頂ければと思います。
ドライビングで大事なこと その1:タイヤについて理解する
FM7において速く走るために大事なことは、現実のサーキット走行において速く走るために大事なことと同義であると言えます。これは、FMシリーズが物理的法則に則ったロジカルな挙動エンジンを用いている事が理由となります。
それを念頭に置いた上で、速く走るために大事なのは何か?ということを考えたとき、私はまずタイヤについて理解することを最優先項目として提唱したいと思います。
車はいくらパワーがあっても、強力なブレーキがあっても、ドライバーの腕が優れていても、路面に接しているタイヤ以上の能力を発揮することは出来ません。
つまり、ロスなくスムーズに、最大限効率よくタイムを追求するにはタイヤについて理解を深めることが合理的であると考えます。
とはいっても、タイヤのトレッドパターンやブロック・サイドウォールの剛性について勉強をするとか、そんなことは必要ありません。
タイヤに深く関係するフリクションサークルという概念を理解すればOKです。
これについてとても良い解説をしているサイトがありました。↓
こちらから一部抜粋して記載します。
このフリクションサークルというのはタイヤの走行状態での運動性能を「円」に例えて表した物です。紙に円(丸)を書きます。この円の中心から縦と横に直線を引きます。(中心線)この縦の軸を加減速、横の軸を横方向に働く重力(G)だと認識してください。上が減速(ブレーキ)下が加速(アクセル)と言う事になります。
この円の外周線がタイヤのグリップの限界で、円の内側がグリップしている範囲、円の外側がグリップを失った状態です。試してみると分かりやすいのですが、ブレーキをロックギリギリの所まで踏むとします。これは減速方向の円の一番上という事になります。その状態からステアリングを切り込みます。すると横方向に働く重力(G)が加わります。既に円の上側の頂点にいるのですからすぐに円の外に出てしまいます。そこで、8割なり、7割なりまでブレーキをリリースして横方向に力を出しても円の中にいられる状態に調整してやります。その連続動作から加速に移る事で常にグリップしている状態をコントロールする事が出来ます。この円が元々タイヤの持っているグリップの限界に近ければ近いほどタイヤの運動性能を生かしている(速い走り方)という事になる訳です。
フリクションサークルに関してはこちらの説明そのままを受け取ってOKです。
そして、走行時にはここに荷重という要素が加わることになります。
荷重が加わるとどういうことになるかピンとこない方は、消しゴムを手に取り机に強く押し付けながら擦ったときの抵抗感と、弱く押し付けながら擦ったときの抵抗感を比べてみると良いと思います。
力が強い時の方が滑りにくいのは当然であり、これは誰でも感じ取れるものと思います。
この時の力が荷重に相当し、滑りにくいがタイヤのグリップ力に相当します。
また、物理法則上の基本的な原理として、一度タイヤグリップの限界を超えて滑り始めた後は滑り終わってグリップ力が回復するまでに時間がかかります。
厳密に言うと時間そのものではないのですが、タイヤグリップの限界を100という数値にしたとき、これを超えて110、120に達したあと、再び100に下がってもグリップ力は回復しません。
更に大幅に下げて60、50といった数値に下がるまで滑り続けます。
いかなる場合もこの原理が覆ることはありません。
本来のタイヤグリップ100に対し50、60という数値の状態が長く続くということは、速く走る上で大きなロスになります。このロスをなるべく減らし、タイヤを最大限効率よく使うことが速く走ることへ繋がります。
ドライビングで大事なこと その2:走りこむ
ドラテクを磨くために何をするか?と問われた時に、まず走りこむという回答を思い浮かべる方が多いかと思います。
回答としては正解だと思います。
ですが、それだけだと(わりと)理論オタクの私には疑問が残ります。
なぜ走りこむのか?
至極単純な疑問です。
ただ走ればいいのか?走りこんでどうなるのか?そもそも走りこむとは?
走りこむという回答だけだと、その先のビジョンが全く見えてこないのです。
で、私なりに経験を積んで技術を磨いてきた上での見解としては、走りこむことの大きな目的は感覚を養う(研ぎ澄ます)ことだと思います。
なぜ感覚を養わなければいけないのかというと、走行時にはドライバーが感じ取れるかどうかでタイムが左右される要素が多く存在するからです。そしてその要素は主にコーナー関係に集約されています。
コーナーを一つ取り上げてみても、コーナー進入時のブレーキング開始ポイント、ブレーキをリリースするタイミング、ステアリングを切り始めるタイミング、ステアリングを切る際のフロントタイヤのグリップに左右される切れ角の限界、ステアリングを切って車体の向きが変わる際のG、それに伴うリアタイヤの横グリップの限界、立ち上がりでアクセルを踏めるタイミング、その時のアクセルを踏める量、それによって発生するリアのG等々、抜けているものがあるかもしれませんが多くの要素が存在します。
これらを感じ取って最適に処理するためには、まず感覚を養わなければなりません。
感覚を養うには何周も、時として数百周という単位では足りないレベルで周回を重ね、身体に染み込ませていく必要があります。
また、それと併用すると良い事があります。
ドライビングで大事なこと その3:正解を知る
感覚を養うために走りこむ際、知っておくと良い、使った方が良い機能があります。
それはライバルモードのリプレイ・トレーニングゴースト機能です。
現実の各種サーキット走行会では、プロドライバーによるマイカー同乗走行の機会が設けられていることがあります。
マイカーをプロに乗ってもらい、隣でその走りを体験できます。
この同乗走行の主な利点は、プロの技術を体験と、それによる自分が知らないマイカーの限界を知ることが出来るということです。
それはすなわち、今の車でより速く走るためのお手本となります。
似たようなことがFM7でも可能です。
それは、ライバルモードで自分よりも速いプレイヤーのリプレイを見ることです。
基本的にどのクラスでもどのコースでも結構ですが、なるべく同条件を作ることが必要です。セッティングはまだしも車まで違ってくると意味が薄れてくるので、技術向上を目的とする場合はスペックチャレンジがオススメです。
長くない距離、低速~高速・複合コーナーも揃っており、手頃なパワーの190Eを用いるライムロックが良いでしょう。これには個人的な主観が混じっています。(長いコースは疲れる)
まず自分なりにベストな走りで正規タイムを残し、ランキングにおける現状の実力を把握しましょう。
この時点で世界1位のWRを達成出来る人は回れ右で結構です。大会にでも出場してください。勝てる見込みがある上に海外で引っ張りだこ、プロチームに加入の可能性すらありますよ。比喩はありません。
現状の実力を把握したら何をするかというと、現状より1秒速いプレイヤーのゴーストを追いかけて、最終的には正規タイムで上回る事です。
これの繰り返しになります。
自分より速いタイムのゴーストは、言い換えれば現状よりもより速く走る正解例と言えます。
そのゴーストの走行ラインがおかしいとか、ブレーキタイミングが早すぎる・遅すぎる等々が出てくることもありますが、そんなことは関係ありません。
最終的に自分よりも速いタイムを残していること、それが全てです。走りの面に関して上位タイムの人を批判する権利はありません。他ではできます。
ゴーストを追いかけている過程で有効な方法があります。
それは、リワインドを使いまくってゴーストの走りをトレースすることです。それも一つのコーナーごとに。
なぜそんなことをするのかというと、単純にゴーストと同じライン・同じ速度で走ればそのタイムが出るという理屈です。
一つのコーナーを抜ける時に、ゴーストの前に出れていない時はリワインドを使ってそのコーナーをやり直します。やり直す度に、ブレーキングポイント、ステアリングを操作するポイント、アクセルを踏み始めるタイミング等、様々なことが段々と分かってきます。
ランキングでリプレイを見て、走行ラインや各種操作のタイミング、選択しているギア等をテレメトリ機能やブレーキランプ、エンジン音などから研究するのもありです。
否応なしに各部を細かく操作する必要性に迫られ、技術が身に付き車の状態を感じ取れる感覚が研ぎ澄まされてくるはずです。
そしていずれ、何周、何十周、何百周と走ってもゴーストを追い抜けない、追いつけないという時期がくるかと思います。そうなったら後は根気と根性で頑張る領域になってきます。
1秒速いゴーストではなく、0.5秒速いゴーストを追いかける方向に切り替えても良いでしょう。
あとはどのレベルにまで到達したいかという目標(というか執念)によります。
タイムアタックのタイムは、総合的に上手くいった当たりの結果であるという見解を示す方がそれなりに居ますが、結果は結果です。まぐれでも運が良かったにしても、それらも実力の内です。それらを高頻度で再現できるように、反復練習をして安定性を高めれば良いだけの話です。
何よりも自信が付きます。
自信が付けばモチベーションが向上し、より集中できるようになり、繊細な操作も身に付きやすくなります。
これは大事なことです。まあ、上には上が居るということを思い知らされてトップ層の人外具合がより鮮明に分かるようになって絶望するんですけどね。
主に一つの手順の参考として綴りましたが、他に何かあったらそのうち追記なり別の記事なりを書きます。
次は・・・まだ特に決まっていませんが何かについて書くかもしれません。